小説「海も暮れきる」   吉村昭と放哉

懸賞 2006年 09月 17日 懸賞


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小説 「海も 暮れきる」の片鱗に触れたくて
小豆島を旅してきた。

名作 「海も暮れきる」は
575調にとらわれない
自由律俳句の俳人・尾崎放哉の生涯を
描いた作品である。

7月31日 作家の吉村昭さんが亡くなった。

放哉の人生は、誰からも束縛されることのない自由さを持ち続けた。
その一方、自由でありうるために多くの犠牲をはらってきた。

障子あけておく海も暮れ切る

咳をしても一人

足のうら洗えば白くなる

入れものがない両手で受ける

春の山のうしろから烟が出だした

ーなど多くの名句を生んだ。

吉村さんは、著作講演録のあとがきで

「私は、三十歳代の半ばまで、自分の病床生活について
幾つかの小説を書いたが、
放哉の書簡類を読んで、自分のそれらの小説に
厳しさというものが欠けているのを強く感じた。

死への激しい恐れ、それによって生じる乱れた言動を
私は十分に書くことはせず、
筆を曲げ、綺麗ごとにすませていたことを羞じた」とある。

そして書き上げたのが「海も 暮れきる」だった。

作品は、何度も現地を訪ね、取材と資料収集した。
その多くの事実のなかから、取捨選択して
史実に沿って飾ることなく
正確で簡潔な文章をめざしている。

報道によれば、吉村さんは無用な治療を拒み
自ら死を選ぶ尊厳死そのものだったと。

自分を律するその厳しい生き方、その潔さは
誰にも真似はできない。
彼も立派だが、彼の意思を尊重したご家族は
さぞ、つらかったこととお察しいたします。

痛々しくて 最後の状況を多く語りませんが
まさに彼の作品 「海も暮れきる」 のなかに
その想いを感じとりました。

 「死を 真っ直ぐに見つめることは 
生を考えることでもあります」

吉村昭さんが亡くなってしまって、とても残念に思っています。
御冥福をお祈りします。

「 さよなら なんべんも言って わかれる 」

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by hanehenID | 2006-09-17 11:52 | 小豆島の旅

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